研究成果
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- ヨーロッパ宇宙機関(ESA)の赤外線宇宙天文台を用いて、人類初の中間赤外線(波長7ミクロン)におけるディープサーベイを行い、ダストに包まれた若い銀河が遠方宇宙に存在することを発見した。 [1997年:ESAによるプレスリリース]
- オランダ・イギリス・ハワイ大学共同運用のジェームス・クラーク・マックスウエル電波天文台のサブミリ波ボロメータアレイを用いて、人類初のサブミリ波帯(波長850ミクロン)におけるディープサーベイを行い、ダストに包まれた若い銀河が遠方宇宙に存在することを発見した。1.の成果と併せ、これらの発見は銀河が若い段階でダストに包まれているフェーズがあることを示し、その後の赤外線から電波でのディープサーベイ研究に大きな影響を与えた。 [1998年:Nature誌によるプレスリリース]
- 赤外線で非常に明るい銀河(ウルトラ赤外線銀河)の形成メカニズムとして「銀河の多重合体説」を発表した。 [1999年:NASAによるプレスリリース]
- 銀河中心核に存在する超大質量ブラックホールに起因する活動銀河中心核形成に関し、銀河の合体で全てを説明する統一モデルを提唱した。 [1999年]
- 自然科学研究機構国立天文台すばる望遠鏡を用いて、128.3億光年彼方の原始銀河を10個以上発見した。これらの銀河は、人類が発見した最も遠方にある銀河であり(世界記録)、国際的に非常に高い評価を得ている。 [2003年:文部科学省によるプレスリリース、2004年:国立天文台によるプレスリリース]
- 遠方宇宙にある巨大なガス雲(ライマンαブロッブと呼ばれ、大きさは100万光年で、普通の銀河の10倍もある)の形成メカニズムとして銀河風(多数の大質量星が死んでバースト的な超新星爆発によって発生)モデルを提唱。標準的なモデルとして定着しつつある。 [2000年]
- 125億光年彼方の銀河を発見し、その銀河では大質量星が大量にできたため、銀河風が吹き荒れていることがわかった。銀河形成期の星の誕生過程を知る貴重な手がかりが得られた。 [2002年:国立天文台によるプレスリリース]
- 活動銀河中心核の一つである電波銀河 3C66B の中心に、巨大ブラックホールが2個、お互いの周りを回っている直接証拠を得た。このような巨大ブラックホールが連星のようになっている可能性が電波銀河に対して指摘されていたが、直接証拠としては世界初となった。 [2003年:Science誌によるプレスリリース]
- ハッブル宇宙望遠鏡トレジャリープログラム(特別強化プログラム)である「宇宙進化サーベイ (Cosmic Evolution Survey: COSMOS)」の正式メンバーとして、ハッブル宇宙望遠鏡史上最大のプロジェクトを遂行してきている。COSMOSは銀河、巨大ブラックホール、ダークマターの進化を宇宙年齢と銀河環境(宇宙大規模構造)の関数として調べ尽くすことを目標としており、国際的に注目を集めているプロジェクトである。2003年に開始されたプロジェクトであるが、全波長帯の広域(2平方度)ディープサーベイであるため、最終的な成果達成までには、最低でもあと数年は要する。 [2003年より継続中]
- すばる望遠鏡で撮影したCOSMOS天域(8.を参照)に、大きな銀河に飲み込まれて、破壊されつつある銀河を発見。世界で2例目の発見となった。[2004年:日本天文学会によるプレスリリース]