宇宙大規模構造進化研究部門│愛媛大学 宇宙進化研究センター

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谷口センター長が参加する国際共同研究の成果がプレスリリースされました

 

若い宇宙に巨大銀河を大量発見


概要
  ヨーロッパ南天天文台ビスタ望遠鏡 (口径4mの赤外線サーベイ専用望遠鏡)を用いて行われてきた ウルトラビスタ・プロジェクトチームは、宇宙年齢にしてわずか 7.5 億歳から 21 億歳の頃の若い宇宙に 574 個もの巨大銀河を一挙に発見することに成功しました。 これらの銀河の質量は太陽質量の数100億倍を超え、中には2000億倍を超えるものも発見されました。 宇宙が若い時期に、こんなに大質量の銀河がたくさんあるとは今まで知られていませんでした。
 今までの深宇宙探査は主として可視光帯で行われてきました。遠方銀河からやって来る光は、 宇宙膨張の影響で波長が長い(赤い)方にシフトする(赤方偏移と呼ばれる)ので、 可視光帯で観測する遠方銀河の光は紫外線です。 紫外線は塵粒子(ダスト)による吸収の影響を受けるため暗くなるので、検出が難しくなります。 今回の私たちの観測は近赤外線から中間赤外線で行ったので、紫外線ではなく銀河かから放射される 可視光線を観測しています。そのため、吸収の影響が小さいので、遠方宇宙にある銀河が発見しやすくなります。
 今回、若い宇宙に今まで知られていなかった大質量の銀河が発見されたことになりますが、 なぜそのような銀河があるのかは不明です。銀河の誕生と進化に大きな謎が出てきたことになります。 これらの銀河の性質を見極めるには ALMA(アタカマ巨大ミリ波電波干渉計)や次世代の超大口径 (口径30mクラス)望遠鏡による観測が必要になるでしょう。
 なお、谷口センター長がウルトラビスタ・プロジェクトチームの主要メンバーであり、 科学研究費の補助 [基盤研究 (A) No.23244031] を得て推進してきています。

記事の詳細は以下で見ることができます。
The Birth of Monsters: VISTA pinpoints earliest giant galaxies (ESO)

研究成果は以下の論文に掲載されています。
Caputi, K., et al. (2015, ApJ, 810, id 73)

研究者一覧
Karina I. Caputi (Kapteyn Astronomical Institute, University of Groningen, Netherlands)
Olivier Ilbert (Laboratoire d'Astrophysique de Marseille, Aix-Marseille University, France)
Clotilde Laigle (Institut d'Astrophysique de Paris, France)
Henry J. McCracken (Institut d'Astrophysique de Paris, France)
Olivier Le Fevre (Laboratoire d'Astrophysique de Marseille, Aix-Marseille University, France)
Johan Fynbo (Dark Cosmology Centre, Niels Bohr Institute, Copenhagen, Denmark)
Bo Milvang-Jensen (Dark Cosmology Centre)
Peter Capak (NASA/JPL Spitzer Science Centre, California Institute of Technology, Pasadena, California, USA)
Mara Salvato (Max-Planck Institute for Extragalactic Physics, Garching, Germany)
Yoshiaki Taniguchi (Research Center for Space and Cosmic Evolution, Ehime University, Japan)