愛媛大学が小惑星の名前になったことが 2014年 9月 9日発行の国際天文学連合の発行する小惑星回報 (MPC) で
公表されました(MPC 89839)。日本の正式な大学名が小惑星の名前になったのは初めてのことであり、
大変嬉しいニュースです。以下に MPC に掲載された文章を示します。
(39712) Ehimedaigaku = 1996 TJ54
Discovered 1996 Oct. 14 by T. Seki at Geisei.
Ehimedaigaku (Ehime University) is a Japanese national university. Its Research Center for
Space and Cosmic Evolution has conducted various deep surveys of the universe and has discovered
very high-redshift galaxies.
(日本語訳:
高知県芸西天文学習館の関勉氏によって1996年10月14日に発見された。
愛媛大学は日本の国立大学の一つである。愛媛大学の宇宙進化研究センターは様々な宇宙の探査を行い、遠方の銀河を発見してきた。)
小惑星は太陽系内にある小天体の仲間で、多くは火星と木星の間にあり、太陽の周りを公転運動しています。
成分は岩石や氷であり、大きさは数100メートルから数100キロメートルです。日本の探査機「はやぶさ」が
小惑星イトカワの岩石を持ち帰ったことは記憶に新しいことと思います。
小惑星は彗星などと同様に、アマチュア天文家が精力的に発見に貢献してきています。
小惑星の場合、新たな候補が見つかり、軌道がはっきり決まったら、発見者に命名権が与えられます。
発見者は国際天文学連合に名前を申請し、認められれば小惑星の名前が確定します。
今回は高知県芸西天文学習館の関勉氏が愛媛大学の名前を申請し、認められたものです。
なお、関勉氏は池谷・関彗星など、6個の彗星や多くの小惑星を発見してきており、国際的に著名な天文家です。
小惑星“Ehimedaigaku”は大きさが約 6 キロメートルで、太陽の周りを約 3.6 年の周期で公転運動しています。
現在はおうし座の方向に見えており、11月には約 17 等級の明るさになると予想されています。
また、もう一つ報告することがあります。じつは小惑星 “Aidai”もあることが判明致しました。
久万高原天体観測館の中村彰正氏が 1999年12月3日に発見し、2009年2月9日に認定されたものです。
迂闊にも今まで知らなかったのですが、これで愛媛大学は日本語の正式名称とニックネームともども、
小惑星の名前として記憶に刻まれることになりました。二重の喜びを皆さんと分かち合いたいと思います。
謝辞
小惑星「愛媛大学」の誕生を実現して下さった関勉氏(高知県・芸西天文学習館)に深く感謝致します。小惑星の命名提案
から認定には2、3年かかるのが実情ですが、今回はわずか2ヶ月での命名となりました。これは関氏のこれまでの実績が
高く評価されたためと推察しております。また、さまざまな情報をご提供頂いた渡部潤一氏(国立天文台)、
山岡均氏(九州大学)、竹尾昌氏(四国天文協会)、堀寿夫氏(徳島県・阿南市科学センター天文館)、
山田義弘氏(東亜天文学会)及び中村彰正氏(久万高原天体観測館)に深く感謝致します。
(谷口義明)
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記者発表の様子